私の知らないうちの猫

 

私が生まれる前、我が家には2匹の猫がいた。(母から聞いた話

まず1匹目は黒猫のもくべぇ(♀)。 近所の魚屋さんでもらった猫。

もくべぇはとっても賢くて、食卓の上にあるものには一切手をつけない。

目の前に刺身を置いても、「食べてヨシ」と言うまで食べなかった。

もくべぇは子供を産むとき、鳴いて母を呼び

母は子猫が産まれるまでずっともくべぇのお腹をさすっていた。

もくべぇは3匹の子猫を産んだんだけど、夜遊びに出て行くとき

子猫を1匹ずつ自分の寝床から母の寝床に運んでから出て行き、

帰って来てからまた1匹ずつ自分の寝床へと連れ帰っていた。

けれどある日、もくべぇは子猫を残して逝ってしまった。

その頃父と母は会社の工場の2階に住んでいたのだけれど

1階の工場の入り口を、もくべぇがいつでも出入り出来るように少し開けていた。

ところがそこから犬が入り込み、もくべぇは・・・。

 

2匹目はやっぱり黒猫のとんちき(♂)。 もくべぇの子だ。

もくべぇが逝ってしまい、乳飲み子(?)を3匹抱えてしまった父と母は

綿に牛乳を含ませて飲ませ、もくべぇの代わりに3匹の子猫を育てた。

子猫がある程度大きくなった時、

1匹は近所の家にもらってもらい、その後ずっと家の人たちに可愛がられた。

1匹はもくべぇをもらったのとは別の魚屋さんにもらってもらった。

この魚屋さんにもらってもらった猫、最初にたらふく魚を食べさせてもらって以来

店の魚に手をつけることはなかったそうだ。

残った1匹がとんちき。 とんちきは生まれつき脚が悪く、びっこだった。

皿のミルクを飲む時、体のバランスが悪いんで

皿をカタカタいわせて飲み、時にはひっくり返してしまうこともあった。

とんちきはうちの猫として大人になっていった。

けれど、ある日とんちきが帰って来ない。

父が探しに行ったら、近所の家の庭で・・・。 とんちきも逝ってしまった。

とんちきもやっぱり犬に追いかけられて、脚が悪いから逃げ切れなかった。

 

こうして我が家から猫はいなくなった。

父と母が結婚してから私が生まれるまで、3年の間のことた゜った。        

もくべぇととんちき、一緒に暮らしてみたかったな。

それにしても、なんてネーミングのセンスだ・・・・・。

きっと名前をつけたのは父だったんだろうな。