みー&くーの場合

 
    12年前のある日、1匹の猫が現われた。
   こげ茶色のよく見かけるとら猫だった。
   母:「最近、よく来るのよこの猫」 私:「なんかやってもいい?」
   母:「ちくわでもやったら?」ちくわはいつのまにかねこまんまに変わっていた。
   そしてその猫は毎朝毎晩、家に来るようになった。
   ドアを開けると座って待っている。
   「ご飯を食べに来るだけなら」とエサをやり始めて1週間、事件は起こった。

   夕方母に呼ばれた。「ちょっと、外を見て」と母、何だろうと思って外を見て
   みると、勝手口の前で仔猫が2匹遊んでいる。側にはいつものとら猫が・・・
   よく見ると物置の陰にも1匹の仔猫が・・・。
   この仔猫はだいぶ弱っていそうだった。母に聞くと「1匹づつ咥えてきたらしい
   のよ、びっくりしてエサもやらずに戸を閉めたんだけど」
   
   子持ちだったのか、お前・・・。1週間通って様子見て、親子で引っ越してきた
   ってわけか。「4匹も面倒見れないわよ」と母、とら猫親子はその日はエサを
   貰えなかった。

   次の日の朝、弱っていた仔猫が死んでいた。そのおかげで残った親子はエサに
   ありつく事が出来た。母いわく「まぁ、3匹なら」
   「3匹も4匹も変わらないだろうが!」と言いたかったけど、私には決定権がない
   ので黙っていた。そして、とら猫親子は家の自転車小屋に住みついた。

   2ヶ月も経っただろうか、仔猫もすっかり懐き、エサもいつまにかキャットフード
   に変わっていた頃、とら猫のお腹が大きい事に気づいた。「やばい!これ以上
   増えたらどうしよう・・・」と家族でオロオロしていたが、2日経ってもとら猫が
   現われない。「どうしたんだう?」とそれはそれで心配していた時、
   外で声が聞こえた。「やだ、猫が死んでる」

   「まさか!」慌てて見に行ったら、とら猫が死んでいた。車に跳ねられたらしい。
   「お前、これ以上は面倒見てもらえないって、そう思ったのか?もっと優しくして
   やれば良かったな。お前の子供の面倒はちゃんと見てやるからな。」
   その日の晩から、仔猫2匹は自転車小屋から家の中へと移された。

   こうして母猫の犠牲により、みーとくーは『うちの猫』になった。