ちーこの場合

 
   2年前のある日、会社で残業していると携帯が鳴った。自宅からだ。
   「もしもし?」「ああ、私」と母の声、「なに?」と聞くと、
   「仔猫がねぇ、片目が飛び出て私の部屋の前で倒れているんだわ、どうしよう
   ・・・あんた病院連れて行ってやってくれない?」「はぁ?」

   何故会社で残業している私が連れて行くのだろう・・・自分で連れて行けば
   いいのに、という理屈は母には通用しない。猫を病院に連れて行くのは私だと
   決めている。私が車の免許を持っているというのならまだ解るけど、免許もなく、
   タクシーで行くしかない私にいつもそう言うのだ。

   残業を切り上げ、病院にぎりぎり間に合う時間に帰ってみれば、
   丁度叔父さんが来たから連れていってもらったとの事、私の切り上げた仕事は
   どうしてくれる!

   2.3日で退院してきたこの仔猫、始めは「ケガが直ったら外に出す。」
   はずだったのが、病院で片目の仔猫が外で生きて行くのは難しいと言われ、
   結局、このちーこもうちの猫になった。